2010/08/22

消費電力のイメージ

計測に用いたロボット
最近はエコでなければだめといわれる時代になってしまいました。しかし,何をどうするとエコなのでしょう。そこには効率という概念を持ち込む必要があります。同じ仕事をするのにどれくらいのエネルギーで実現できるのかを技術開発する授業をしくみたいと考え最近,様々な方々と協同で教材開発を進めています。

その教材自体の説明は,また完成してからということで,今回はその教材を使った電力の測定の報告です。使用したギヤはタミヤの三速クランクギヤボックス,マブチのFA-130モーターを用いて低速,中速,高速の3種類のギヤ比で組み立てることができます。昨年の中学ロボコン全国ルール(授業内部門)のために私が試作した写真のロボットでは,取り込み部分でローターを高速に回すために,高速ギヤを使い,動輪に中速ギアを用いています。

中速動輪無負荷回転時
次に中速に組まれた動輪部分の左車輪のみを地面から離した状態で空転させてギヤの回転にかかる負荷以外の負荷がなるべくかからない状態にして計測してみまいた。電源は単3型のエネループを直列に2個接続して使用しています。

電圧が2.34V,電流が約0.15A,電力は,0.34Wになります。タイヤが浮いた状態の空転のギヤのロスだけではこの程度の電力しか消費されないのです。でも当然動かしている時に壁にでもぶつかったまま電流を流し続ければ,消費電力ははねあがるはずということで,手でタイヤをおさえつけて電流を流しているのに無理矢理固定してみました。電圧はやく2V,電流量は約1.17A,電力は2.33Wでした。実に6倍以上のエネルギーが消費されています。


中速動輪過負荷無回転時
技術の教科書には,電源と負荷が導線で結ばれた略図が掲載されていますが,負荷がこれほどエネルギー消費に大きく影響するとは思ってもいませんでした。

この測定で,FA-130モーターをタミヤの3速クランクの中速で用いた場合,空転させているだけでは0.34Wしか消費しないのに,モーターに電流が流れた状態で止められたら2.33Wも消費していたということになります。

電池でモーターを動かしている時,直列に2個つなげたらどんな時でも3Vあるような錯覚をしてたことを知りました。電池の能力によっても違いはあると思いますが,こうしてリアルタイムに計測できると自分自身の電気エネルギーのイメージがだいぶいい加減なものであったことがわかります。世の中は電気自動車やハイブリットカーの時代です。そしてどれだけ少ないエネルギーで効率のよいものを使っていくかが求められてきています。今現在の社会での技術開発の多くがこの効率をキーワードに進められているのではないでしょうか。開発中の教材は近々にも公開できる予定です。ぜひお楽しみに!


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